労働者が健康に安心して働けることは、企業にとって重要なテーマであり、産業医の役割はその重要性を増しています。その背景として、労働者の健康問題が複雑で多様化していることが上げられます。 たとえば定期健康診断における有所見率は約５０％あり、年々上昇傾向にあります。仕事に対して強い不安やストレスを感じる人も多くいます。こうした職場の健康に関わる問題を予防するために、そして全ての労働者が健やかに、そしていきいきと働ける職場を作るためにも、産業医が求められています。

企業はその規模に応じて、２０１５年１２月からストレスチェックの実施を義務化されました。ストレスチェックとは、労働者にかかるストレスを知るためのテストであり、ここで重要な役割を果たすのも産業医です。産業医は、ストレスチェックの結果「医師による面接指導が必要」と判断された労働者に対し面接指導を行うことができます。そして必要に応じて労働環境の改善を促し、労働者のメンタルヘルスを適切にケアします。では、メンタルヘルスは企業と労働者にどのように影響するでしょうか。

ひとたびメンタルヘルス不調になると、職場の生産性が低下してしまいます。たとえば仕事の集中力が落ちて同じ業務に要する時間が長くなったり、大切な業務上の判断ができなくなったりします。さらにこれが進むと、休業を余儀なくされる場合や、事態によっては労働自殺のような深刻な問題につながる恐れがあります。

過労死や労働自殺のように重大な問題が起きれば、損害賠償責任が追求される経営上のリスクだけでなく、企業イメージのダウンなど、より大きな問題に繋がりかねません。こうしたトラブルを避けるためにも、労働者のメンタルヘルスを適切にケアすることは必要不可欠であり、産業医の役割は重要になります。

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